パタゴニアの基本情報
一般にチリに於けるパタゴニアの定義は南緯40度線以南、ロス・ラゴス州、アイセン州、マガジャネス州の南極域手前までとされています。北緯に直すと、青森県~サハリンの北端までの地域がスッポリ入ってしまうほど広大です。
一括りにパタゴニアと言ってもその気候、植生の違いなどから、大きく南部パタゴニアと北部パタゴニアに分類されます。
北部パタゴニア
1年を通して降水量が多く、そのため広大な森林を有します。また、パタゴニア大氷原から流れ出る氷河とその侵食によって出来た無数の湖を抱えることから一言で言えば「森と湖」の地域です。
その風景はさながらドイツやスイスのよう。事実、この地域には、この自然環境を是としたドイツやスイス人移民の末裔が多く住むことから町並みもヨーロッパ文化を色濃く残しています。
北部パタゴニアの代表都市:プエルト・モン(チリ)、バリローチェ(アルゼンチン)、エル・ボルソン(アルゼンチン)など
南部パタゴニア
年間降水量もさほど多くなく、東京の半分ほどです。 そのため背の高い植物は育ちにくく、且つ低温、強風のため、大地に緑が乏しい地域です。
一言で言えば「風と地平線」の地域。どこまでも広がる限りない地平線が、ここが 地の果てであることを実感させてくれます。
住民はユーゴスラビア、クロアチアなど 東欧系の開拓精神豊かな民族の末裔が多く、家々には暖炉用の煙突が立ち並びます。
南部パタゴニアの代表都市:プンタ・アレナス(チリ)、プエルト・ナタレス(チリ)、エル・カラファテ(アルゼンチン)、ウシュアイア(アルゼンチン)など
パタゴニアの歴史
パタゴニアの中世、近代史は1520年10月に世界一周航海中であったマゼラン提督の南米最南端通過を以って始まりました。(この14年後に日本では織田信長誕生)
西洋世界が驚愕した「マゼラン海峡」、太平洋と大西洋を繋ぐ航路の発見でした。
マゼランの南米大陸上陸以前
マゼランがパタゴニアに西洋人としての第一歩を踏み出す以前、当地には4~5種族の先住民(インディオ)が生活していました。
それぞれに海洋狩猟民族であったり、陸上狩猟民族であったり、その生活形態は様々でしたが、その後の西洋人、西洋文化の進出により現在では純粋なインディオ血統は途絶え、その文化を伝える文物も多くは失われました。
代表的な先住民:セルクナム(オナ)族、テウエルチェ族などの陸上狩猟民族。ヤマナ(ヤガン)族、カウェスカー(アラカルフ)族などの海上狩猟民族。
探検航海時代
マゼランの上陸により、フエゴ島(火の島)、パタゴニア(大足族の大地)などの呼び名が誕生しました。
マゼラン以降、フランシス・ドレーク(1578年)、サルミエント・ガンボア(1580年)の探検航海を経る中で、マゼラン海峡の更に南にドレーク海峡が発見され、また、陸地においてもパタゴニア奥地まで踏み入り、先住民族との接触が始まります。
植民教化の時代 1600~1800年に掛けて、マゼラン海峡を中心とした南パタゴニア地方は、両大洋を結ぶ商用航路 として非常に重要な役割を果たします。また、スペイン、イギリスなどキリスト教国が布教のためにパタゴニアを訪れ、原住民への布教を目的として植民が開始されました。
列強の領土争いの時代
1843年にチリがマゼラン海峡付近に要塞を建設し、23人の守備隊を送り込みます。通過商船を標的とした海賊行為の鎮圧と、イギリス、スペインなどの圧力を牽制するためでした。
その後1849年にチリ政府が正式にプンタアレナスを州都とするマゼラン州を 制定して、フエゴ島を含むパタゴニア地方をチリ領として宣言します。
学術探検、経済発展の時代
1800年代後半には、パタゴニアのより奥地を求めて、エベルハード、フローレンス、ディクシーなどが地理学的発見を、マルティン・グシンデなどが民俗学的発見を世界に示されたことで、次第に謎に包まれたパタゴニアの全容が解明されていきます。
また、同時にヨーロッパ資本家たちの進出により、フエゴ島大規模冷凍工場や通商補給会社のブラウン・メネンデスなどの、大規模な経済活動が始まります。
経済衰退の時代
1914年のパナマ運河完成により、マゼラン海峡の重要性は失われ、パタゴニア地方は一転して中央政府の保護育成が必要な状態に戻りました。また、この期間、チリとアルゼンチンの間でパタゴニア国境線の確定に関し緊張状態が高まりました。
新たな時代へ
1970年以降、次なる主要産業を求めて開発を進めた結果、パタゴニアは羊毛・牧畜から脱却し、観光産業を主要産業として育成する方針に転換。パイネ国立公園やペリト・モレノ氷河(氷河国立公園)の整備が進み、今日に至ります。
パタゴニアの主要観光スポット

- セノ・オトウェイペンギンコロニー
ペンギンがいなくなってしまったため、現在、閉園しています。

- プンタ・アレナス空港

- マグダレナ島

- ニャンドゥーパーク
現在、閉園しています。

- バルマセダ氷河

- ペリト・モレノ氷河

- ウプサラ氷河

- ミロドン洞窟

- リオ・トゥルビオ

- パソ・アウストラル

- プンタ・デルガダ

- プンタ・エスポラ

- パソ・サン・セバスティアン